認知症の親の家を売却するには?手続きの手順や注意点を解説

親が認知症になった場合には日々の介護などの不安や心配がありますが、施設への入居などで家を売却することになったら注意が必要です。認知症になって法的な判断や意思決定ができない場合には、自分で家を売却することはできなくなります。
認知症の症状が出始めた頃に成年後見制度などの対策ができればよいですが、なかなかそこまで気が回らないことも少なくありません。ここでは認知症になり自分で売却できなくなった家を売却するための手順や注意点について紹介していきます。
施設入居でまとまったお金が必要になったり、相続が発生するなど認知症の人の意思決定が必要な時により良い対処ができる方法を知りましょう。

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認知症の親の家を売却する手順

親が認知症になり、意思疎通が困難な状況で家の売却を行うには成年後見人を選定し、代わりに手続きを行う人を立てる必要があります。
認知症の親の家を売却する手順としては
1 成年後見人の申し立て
2 家庭裁判所の審理
3 成年後見人の選定
4 不動産売却の許可申請
5 不動産会社へ査定および仲介依頼
6 買主との売買契約
となります。ここではそれぞれの手順についてもう少し詳しくみていきましょう。

成年後見人の選任を裁判所に申し立てる

成年後見人は自分で名乗ったり、市役所に書類を出すことではなれません。裁判所に成年後見人制度にのっとって申し立てを行い、選定を受ける必要があります。こちらが指定した成年後見人が不適切な場合には、公的な成年後見人が選定されることもあります。
成年後見制度の申し立てを行えるのは本人を含め、配偶者、4親等以内の家族、検察官などです。成年後見人を選定するには任意後見制度と法定後見制度の2種類があります。法定後見制度は本人(被後見人)が認知症などで判断できなくなっている場合に利用します。
任意後見制度は被後見人が判断できる状態において、公証人役場で任意後見契約を結び、必要になったときに家庭裁判所で改めて手続きを行います。
認知症になった親(被後見人)の法定後見人(後見人)になれるのは、親族や弁護士、司法書士、検察官、社会福祉士、市区町村長などの中から適切な者が裁判所によって選定されます。
成年後見人制度は被後見人の財産を適切に管理することが目的です。未成年や破産者、被後見人と訴訟している人は選定されません。成年後見制度の申し立ては被後見人となる認知症の親が住む地域を管轄している裁判所に行います。
詳しくは裁判所の成年後見制度を参照してください。
参考:裁判所

申し立てに必要な書類

成年後見人の申し立てに必要な書類をまとめます。書類ごとに必要な機関から取寄せて揃えましょう。

書類入手先
申立書類
・後見・保佐・補助開始申立書
・親族関係図
・申立事情説明書
・親族の意見書
・後見人等候補者事情説明書
・財産目録
・相続財産目録(本人が相続人となっている遺産分割未了の相続財産がある場合のみ)
・収支予定表
・財産関係の資料(該当する財産がないものは不要)
・収入・支出に関する資料のコピー
東京家庭裁判所・支部の窓口
診断書(成年後見制度用)、診断書附票、本人情報シートのコピー主治医、福祉関係者
愛の手帳のコピー(交付されている場合のみ)本人所有
本人の戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)役所
本人の住民票又は戸籍附票役所
本人が登記されていないことの証明書法務局
後見人等候補者の住民票又は戸籍の附票役所

また、後見・保佐・補助開始申立書は複数の書類の総称です。申立書の内訳を表にまとめておきます。申し立てにあたって準備する必要がある書類があるので、用意しましょう。
参考:裁判所

家庭裁判所が審理を行う

成年後見制度の申立書が受理されたら、家庭裁判所にて審理が行われます。裁判所の調査官が申立人、本人(被後見人)、後見人候補者に面接を行い、事情を聞きます。関係する親族にも事情を聞き、親族間の争いがないかなど確認が行われます。
まれに診断書に加えて医師による鑑定が行われ、本人の判断能力を確認する場合もあります。

成年後見人が選定される

家庭裁判所は申し立ての内容に基づいて審理を行い審判によって成年後見人が選定されます。審判書(審判書謄本)は郵送で関係者に送られ、誰が成年後見人になったのかが知らされます。却下となった場合にも審判書で知らされます。後見人は法務局に登記されます。
登記事項証明書および審判確定証明書が必要な場合には法務局に申請して取得します。登記事項証明書の取得には約4週間程度がかると見込まれます。
登記事項証明書を取得する前に、不動産売買も諸手続きを進めたいといった場合には、審判書と審判確定書があれば、証明書として利用できます。

裁判所に不動産売却の許可を申請する

成年後見人の申し立ての際に財産目録があったように、後見人になったからといって認知症の親(非後見人)が居住する家を勝手に売ることはできません。被後見人の所有する家や退院後に戻る家を売却する場合は、後見人がいても裁判所の許可を取らなければならないのです。
不動産の売却にあたっては「居住用不動産処分許可申立書」を家庭裁判所に提出する必要があります。申し立てを行うと売却の必要性や売却した代金の使用目的など被後見人が必要とされる場合において売却が認められます。
ただし居住目的ではない別荘などの不動産は裁判所への申し立ては必要ありません。居住目的以外の不動産売却には被後見人の財産を守ることに留意して、売却理由を明確にし、価格等に注意しながら行いましょう。

不動産会社に査定を依頼する

親が認知症になった場合には、後見人を立て、不動産売却の許可が出てようやく不動産会社での手続きが本格的に始められます。不動産の売買においては不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。まずは家の価値がどれくらいなのか査定を不動産会社に依頼します。
査定額は不動産会社によって差が出てきます。できるだけ複数の会社に依頼して査定額を比較すると、長所短所が見えてきます。納得できる不動産会社が見つかれば、仲介媒介契約を結んで家の売却活動をはじめましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するには難しいのではと思っている人にはすまいステップを利用すれば簡単に済ませられます。すまいステップなら、「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などあなたの求める条件を満たした優良な不動産会社のみを厳選してご紹介することができます。無料で利用できるすまいステップの一括見積もりを利用してみてください。

買主と売買契約を締結する

めでたく買主が見つかれば売買契約を結ぶ運びとなりますが注意が必要です。売買契約を結ぶ際にも家庭裁判所の許可が必要です。許可が降りれば法定代理人である後見人が買主と契約を結べます。契約時には不動産会社が間に入り、必要な手続きを案内してくれます。
契約を急いでいて、裁判所からの許可を受ける前に契約をしたい場合もあります。その場合には「裁判所の許可が得られた場合に契約の効果が発生する」という条件をつけた上で契約に望むこともあります。

認知症の親の家の売却にかかる費用

認知症の親の家の売却にはこれまでみてきたように、所有者である親が売却のを判断できない状況にあるなかで、財産を売買するためにさまざまな手続きが必要でした。成年後見制度も含めて認知症の親の家の売却にかかる費用についてここでは紹介していきます。

成年後見人の申し立て費用

成年後見人を申し立てるのに必要な費用をまとめます。申し立ての費用は申立書と一緒に納付します。

収入印紙(1)800円(申立費用)
400円×2枚
(2)2600円(登記費用)
1000円×2枚、300円×2枚
郵便切手・後見の場合 3200円
(500円切手×3枚、100円切手×5枚、82円切手×10枚、52円切手×2枚、20円切手×8枚、10円切手×10枚、1円切手×16枚)
鑑定費用診断書付表に記載された金額

成年後見制度の認定内容によっては金額が変わります。詳しくは裁判所に問い合わせましょう。
参考:裁判所

後見人への報酬

公的な後見人が付くと財産額に応じた報酬を毎月支払う必要があります。報酬額は管理する財産に応じて変動し、裁判所から目安が公表されています。

被後見人の管理財産報酬目安(月額)
1,000万円以下2万円
1,000万円超え~5,000万円以下3万円~4万円
5,000万円超え5万円~6万円

後見人が複数いる場合には上記金額を担当する事務内容で案分します。後見人が家族などで報酬を求めない場合には支払いは発生しません。報酬は被後見人の財産から支払われます。

家の売却にかかる税金

家の売却には売買金額に応じて複数の税金がかかります。かかる税金を以下にまとめます。

項目税額・費用
譲渡所得税(所得税、住民税)譲渡所得の30.69%または20.315%
印紙税売買の際の契約金額による(1,000円~6万円)
相続登記時の登録免許税固定資産税評価額の0.4%
登記を代行する場合は別途7~10万円

売買が成立し売却によって利益が出ると譲渡所得税がかかります。税率が高いので相当額の税金が発生します。印紙税は売買契約書に貼付するもので売買金額に応じて金額が変わります。登録免許税は登記する際にかかる費用です。

認知症の親の家の売却費用を抑えるには

先ほど認知症の親が家を売却する際にかかる費用についてまとめました。ここでは売却費用を抑えるための方法について紹介していきます。制度を上手に利用して支払いを抑えましょう。

後見人制度の支援制度を利用する

成年後見制度の利用にあたっては、市町村ごとに支援事業が行われています。平成30年に高齢者の成年後見制度利用にあたっては全国1,650の市区町村(95%)で支援事業が行われています。
市町村によって支援内容はさまざまですが、「申立手数料」「登記手数料」「連絡用の郵便切手代」「鑑定料」を助成する制度と、後見人への報酬を助成する制度(上限額あり)などが用意されています。
『(被後見人が住んでいる市区町村)+成年後見制度 助成』で検索すると見つかりやすいです。

損失があった場合の特例を利用する

家の売却を行った際に売却金額よりも経費が高く利益が出ずに、損失になった場合には確定申告の必要はありません。ただし、
・居住用財産を買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
・特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
を利用すると損失の場合にもその年の給与所得などの所得税から損失額を控除できます。特例を受けるためには、適用要件がいくつかありますので、事前にチェックしておきましょう。詳しくは国税庁か不動産会社に問い合わせましょう。
参考:国税庁

3,000万円の特別控除を利用する

家を売却して利益が出た場合でも譲渡所得税を減額する方法があります。売却する親がマイホームとして居住していた住宅においては、下記の要件において3,000万円の税制優遇を受けられます
・親自身がマイホームとして居住していたこと(セカンドハウスや投資用物件は対象外)
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること
・家を取り壊したときは、取壊しから1年以内に売却すること
・売却の相手方が親子や夫婦等の特別な関係の人でないこと
3年以内と期限があるので売却までの期間が重要です。特別控除を受けるには確定申告が必要です。売却によって得た利益を親が受取る場合には親の確定申告が必要です。相続する場合には相続人全員が譲渡所得を得ることになるのでそれぞれが確定申告をする必要があります。
詳しくは国税庁に問い合わせましょう。
参考:国税庁

認知症の親の家を売却するときの注意点

認知症になって判断ができなくなった親の家を売却する際には成年後見人が必要になることを紹介してきました。成年後見制度を利用する場合にはいくつか注意点があります。ここでは成年後見制度を利用する際の注意点についてまとめてみました。

申立人が後見人になるとは限らない

親が認知症になって判断能力を失っている場合には成年後見人を選出することが必要なことを紹介しました。成年後見人は申し立てる人が決めるのではなく、裁判所が親(被後見人)の財産をしっかり管理できると認める人を選びます。
申し立て人が子どもなどだとしても、親族以外の第三者(司法書士や弁護士など)が専任されるケースも多くあります。親族、弁護士、司法書士、社会福祉士、法人、市区町村長が成年後見人となる資格を有しています。
また、成年後見人になる場合、医師、税理士等の資格や会社役員、公務員などはその地位を失います。必要性や家庭環境などをよく加味して後見人の選定を考えておきましょう。親族が後見人になった場合に親が亡くなり、相続が発生すると、利益相反が起こる可能性があります。
その場合には成年後見人を追加で選任する、成年後見監督人を選定するなどの方法があります。また、特別代理人を選任することもあります。利益相反が起こらないように、あらかじめ、司法書士や弁護士などほかの後見人を選んでいる人が多いのはそのためです。

後見人を辞退するのは難しい

1度後見人を引き受けると被後見人が亡くなるまで支援が続きます。売却が終わったから支援をしないとはなりません。その後のさまざまな契約などの場面で支援を続ける必要があります。もし、成年後見人を辞めたい場合には、裁判所に申し立て許可される必要があります。
辞退の理由としては
・本人の病気
・家庭の事情で継続が困難
・高齢になり職務継続が困難
などの理由で辞退できることがあります。ただし、辞任には裁判所への申し立てが必要なことと、後任の後見人を立てる必要もあるので事前準備が大切です。

生前贈与ができない

まだ存命な認知症の親の家を生前贈与を利用して所有権を移そうと思えるかもしれません。しかし、贈与をすると被後見人の財産が減ると判断されます。成年後見制度を利用した場合には生前贈与を行うことはできません
すでに生前贈与を考えている場合には元気なうちに、または認知症がわかった時点で行っておくと後々の手続き楽に済む場合があるので検討するのも大切です。

認知症であることを隠して売却を進めるのはNG

不動産売買には所有者の意思決定が重視されます。認知症などにより判断が著しく低下した状態での契約は無効となるので結べません。所有者である親が認知症であることを隠して勝手に代理人が売買を進めた場合には裁判に発展することもあります。
認知症の程度は個人では測れないところもあるので、隠すことなく、よく相談して売却を進めましょう。

認知症の親の家を売却するための制度を利用しよう

親が認知症になってから所有する家を売却することは大変手間と時間がかかる作業になります。あらかじめ病状が悪くなる前に生前贈与や任意後見制度を利用して事前に遺産の整理を行っておくことは重要です。
認知症の親を売却するためには成年後見制度を利用することで、裁判所が選定した後見人が売買の代理を行うことはできます。状況に応じて必要な措置をとって家の売却を成功させましょう。
売却にあたっては不動産価値の査定を行ってみて、相談できる不動産会社をみつけて一緒に進めていくのも手です。どこが良い不動産会社かは比較しないとわからないところがあります。まずは状況を伝えて一括見積を行ってみて比較検討からはじめてみましょう。

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